緊急学習会「生活困窮者を襲うコロナ感染症」&現地視察

豊島・生活者ネットワークでは、2003年から池袋で路上生活者支援を行っているTENOHASIと連携し、政策提言を行ってまいりました。その後、TENOHASI、世界の医療団(医療支援)、べてぶくろ(障がい者支援)が合流し、2010年には、医療、地域の支援が必要なホームレス状態にある人々の精神と生活向上プロジェクト「東京プロジェクト」がスタートしました。この東京プロジェクトの名の下に集まっている種々の団体が集まる事務所は、豊島ネットの新事務所のすぐ近くにあります。新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから、TENOHASIには、全国から大量の善意あふれるマスクが集まっています。豊島ネットでは、4月末からは、この大量のマスクの小分け作業をネット事務所で行っています。すでにその枚数は16,000枚を超えました。そのほかに、いわゆる“アベノマスク”も3000枚以上集まっています。

4月19日に、この大量のマスクの背景を知ろうと、「世界の医療団」武石晶子さんから生活困窮者の現状を伺う学習会をオンライン併用で行いました。

東池袋中央公園で毎月第2、第4土曜日に行われている路上生活者のための炊き出し、生活相談、医療相談は、昨年まで平均160人ほどだったのが、今年の5月末には、260人もの人が集まりました。コロナ感染症自体を知らない人に、石けんやマスクと共に、保健所や役所の電話番号を掲載した衛生キットを配布。都内に約4000人いたと言われるインターネットカフェも閉鎖となり、行き場所を失った人に対して、東京都は、急遽ビジネスホテルを400室用意していたのですが、その情報が届かない方もいました。生活の貧困は、情報の貧困からも生まれてきます。今回の新型コロナウイルス感染症で、経済がストップしてしまうとその日暮らしの仕事を失い、いきなり生活困窮に陥ってしまう人がこれほどまでに多いのか。これは、現代社会が抱える大きな課題です。

生活が困ったときの生活保護制度ですが、豊島区で生活保護費13万円が支給されても、2段ベッドの寮に入れられて生活費等10万円を集金されて管理される仕組みや集団生活にたえられず、再び路上生活に戻ってしまう人も多くいます。

このような状況に対して、プロジェクトでは、まずは安心して暮らせる住まいの確保を第一にと、2016年からは「ハウジングファースト東京プロジェクト」と名称を変えて、個室アパートを用意して、そこに3ヶ月〜4ヶ月滞在し、住みたい地域に恒久的な住まいを得るように回復する過程を支援する活動をしています。

また、長く路上生活を続けている人には、何らかの障がいのある人が多くいて、知的障がいや精神障がいなど、4〜6割の人はケアーが必要な状況であることが調査結果で明らかになっています。東京プロジェクトでは、適切なケアが受けられるような対応、アパート生活になってからも地域で安定して暮らせるようなプログラムを実施しています。

2013年に始まった要町あさやけ子ども食堂は、今では子ども食堂の方が有名になってしまいますが、そのまえに2011年から、プロジェクトが始めたアパート生活を始めた人たちの日中活動の一つとして、水曜日のパンづくり「池袋あさやけベーカリー」をスタートし、その出来上がったパンを水曜夜の夜回りで配る活動を始めていました。実は、子ども食堂の開催日、第1、第3水曜日は、パンづくりをしている人たちの賄いにもなるのではというところからのスタートでした。そして、このパンづくりの協力も、店主の山田和夫さんの亡き妻山田和子さん(元豊島ネット代表)が自宅パン屋「こんがりパン屋」のパンをホームレス支援のために、分けていたことが大きなきっかけとなっています。また、現在の東京プロジェクトの事務所は賃借時に、山田さんと豊島ネットが協力した結果、山田さん宅のすぐそばに決まりました。

 

このように、豊島・生活者ネットワークは、2002年に設立以来、地域に根ざしたネットワーク活動を続けてまいりました。一人ひとりの活動は、微力であっても無力ではありません。

今回のコロナウイルスの影響では、今まで見えていなかった社会の課題があらわになっています。以前のような社会には戻らないと言われていますが、豊島・生活者ネットワークは、全国から寄せられたマスクを前に、今まで続けてきた地域のネットワークを通じた豊島区をそしてこの社会を暮らしやすい街にする活動を今後も続けていきたいと意を新たにしました。

 

そして、まずは、マスクをしっかりと困っている人にお届けするために、第4土曜日、6月27日の炊き出し、生活相談、医療相談に衛生キットを配布する世界の医療団にボランティア参加してきました。若い女性を含む、200人あまりの人に配布することができました。助けて!と言える社会、そして、助けて!を受け止める社会を実現すべきと考えます。