「女性と政治」東京家政大学講義から

豊島•生活者ネットワークでは、2017年に、区民の有志と「マツリゴト」というグループを立ち上げ、定期的に人権のこと、社会のこと、福祉のことを話し合う活動を続けてきました。中学校の公民の教科書を読んだのち、「社会福祉への招待」の読書会のナビゲーターをしてくださったのが、区内在住の田中恵美子(障害者福祉)さんです。田中さんから、自身が教授をしている東京家政大学の「社会と文化F」 共生社会を生きるーインクルージョンの一コマを「女性と政治」というタイトルで豊島ネット事務局長の村上典子に講義をするように依頼がありました。

講義内容の目的は、「普通の主婦が8年間区議会議員として勤めた経験。および、日本の男女不平等の原因の一つとして考えられている女性の政治分野の進出が遅れていることなど、これからの女性がどう政治と向き合うべきなのかを考えたい」というものでした。

7月15日の午後1コマ(100分)、20歳前後の女子大生(11名)と「女性と政治」について考えた村上典子の報告です。

 

1.政治とは

政治と聞いて、すぐ思いつくのは、選挙ではないでしょうか?

つい、先日7月4日は東京都議会議員選挙でした

東京都にお住まいの方の中で投票に行かれた方はいらっしゃいますか?

(一人だけ手を挙げる)

今回の都議会議員選挙の投票率は42.39%と過去2番目に低いものでした。

 

 

確かに、よくわからない、会ったこともない人に自分の貴重な1票を入れるとなると結構悩みますよね。どんな基準で選びますか?

性別?年齢?顔つき?または政策?

私も皆さんぐらいの年齢の頃、どうしようかと思いました。

テレビで放送される良さそうな政党の人に入れたりしました。

でも、後から、とんでもない人だったことを知って、がっかりしたりしました。

 

杉並区公営掲示板(都議会議員選挙)

さて、今回の都議選のポスター掲示板を見てみましょう。

杉並区は12人が立候補しました。

このうち定数が6人です。

どの人が当選したと思いますか。

 

新宿区公営掲示板(都議会議員選挙)

新宿区は定数4のところ11人が立候補。

豊島区公営掲示板(都議会議員選挙)

豊島区は定数3のところ5人が立候補。

選挙広報というのを見たことがある人はどのぐらいいらっしゃいますか?

こちらには政策が少し詳しく書いてあります。

 

 

今回の東京都議会議員選挙は東京全体で271人が立候補し、172人が当選しました。

172人の人たちは、これから1期4年間都議会議員として活動していくのですが、

東京都議会議員は議員報酬は月130万円、政務活動費一人月 60万円。(現在は、身を切る改革として80万、50万円)加えて議会に出席するだけで一日1万円(23区選出議員)支給されます。

一年に約2000万円以上が税金から支給がされます。

4年間で約8000万円です。これだけの税金を払ってその議員どんな仕事をするのかを私たちがしっかりチェックしていくことが重要です。

そして、4年後には必ずまた選挙がありますから覚えていてください

 

都議会議員や区議会議員など地方自治体の議員は1期4年です。

選挙で選ばれた後、4年間、議員は何をやっているかと言えば、

一言で言えば、皆さんが支払った税金の使い道を決めているということです。

区民の意見や要望を聞き取り、まとめて、

区の計画や、区長へ要望します。

東京都や豊島区などの地方自治体は、都知事や区長を直接選ぶことができ、

トップの権力が大きく、その方向性のチェックも大きな役割です。

 

これは、豊島区の予算です。

豊島区の予算で行っているものとしては、清掃業務や防災業務があります。

特に、資源ごみの分け方は隣の自治体と違っていることをご存知でしたか。

私は、自分の息子たちが社会人になって家を出て独立した時に、

住民票もすぐ移動するように言いました。

ゴミを出すならば、その自治体に住民税を納めなさい。ということです。

住民票を移すことによってその自治体に税金を納めることになり、責任も出ます。

 

こちらは東京都の予算です。

東京都の予算は15兆円にもなっていて、スウェーデンの国家予算よりも大きいです。

東京都の場合は、警察、消防、水道、などを東京都として行っています。

 

そして、これは日本の国家予算。https://www3.nhk.or.jp/news/special/yosan2021/

 

ここまで桁が大きくなるとよくわからなくなりますが、予算は国会で決定しています。日本は、議院内閣制ですから、国会のなかで選ばれた人が首相となります。多数決で一番人数の多い政党の党首が首相になることになります。国会には、国会は、衆議院と参議院があります。衆議院は定数465人(289人の小選挙区選出議員と176人の比例代表選出議員)

参議院は定数245人(147人が選挙区選出、98人が比例代表選出)です。

衆議院議員は、1期4年ですが、途中解散などがあることも多くありますが、今の議員は、2017年の秋に行われた総選挙以来解散は行われず、今年の10月21日に4年の満期を迎えるので、そこまでに必ず選挙を行います。

衆議院選挙には700億円の税金がかかるそうです。

 

先程の報酬の話に戻りますが、国会議員の場合は、議員報酬と言わず、歳費と言います。

国会議員は月129万円ですが、期末手当、約635万円、文書通信費が毎月100万円などが定められており、日本は、年額約2200万円、手当含めて約4200万円と世界最高水準と言われています。国の大事な方向性を決める国会議員ですが、まずは、それだけの歳費を払うべき人かどうかを見極めてください。

選挙は相対的なものなので、何票取れば当選するというものではありません。

豊島区議会は36人の定数のところ、私が挑戦した2011年には、53人が立候補。2015年には、55人が立候補しました。

私は生活者ネットワークという国会議員を出している大きな国政政党ではなく、東京都内の地域政党から立候補して、2011年には、1751票、2015年には1808票で当選しました。

しかし、過去の記録を見ると、豊島区議会議員は最低1500票、都議会議員では最低2万票、国会議員では最低5万票が必要です。1票、1票の積み重ねでこれだけの人に名前を書いてもらうのは大変です。

選挙は本当に、1票差で落ちてしまうこともあるのですよ。

 

2.政治とは生活そのもの

 

これが議員時代の私のホームページです。今も見ることができます。https://murakami.seikatsusha.me

一般質問のリストや8年間の成果も見ることができます。

 

私は、現在、議員を交代した後も、生活者ネットワークで市民活動を続けています。

先日、この市民活動の一つである子ども食堂にボランティアに来た大学生に、区議会議員を2011年から2019年までやってました。

と言ったところ、8年間もやっていたのですか!!と言われました。

皆さんのように二十歳ぐらいのうちの8年と、私のように60年のうちの8年だと時間の重さが違うのでしょうね。

あっという間の8年間でした。

 

さて、今も私が所属している生活者ネットワークですが、聞いたことがある人はいますか。

 

その前に、まずは、私がなぜ議員になったかのお話をします。今から50年前に買う力を集めて安全な食を確保しようと生活クラブ生協の活動がはじまりました。その活動に参加していた女性たちが、生活課題を政治課題へと自治体が政策を決定する場に生活者の視点で発言する議会を送る活動が地域政党「生活者ネットワーク」です。

私も子どもが中学生に入ってから、生活クラブ生協の委員活動で、自分たちが納得した食材を生産者と直接話し合って獲得する活動をしていました。お米の登録者を増やして、農薬をできるだけ使わないものを作ってもらいます。生産者は、農薬を使わないことは大変労力が使われるものですが、消費者が食べることを約束することで、作ってくれることにつながります。曲がったきゅうりはスーパーでは売られません。

水俣病ってご存知ですか?

今から60年前に水俣市にあった化学工場から有機水銀を含んだ排水が海に流れ込み、魚などに蓄積し、それを食べた人間に神経性の症状が現れました。長いこと理由が明らかにならなかったのですが、理由がわかったあと漁師だった人たちは、国や県から陸に上がって

夏みかんの栽培をするように推奨されました。当時、柑橘類は、出荷直前まで農薬をかけて見てくれを重視していました。ただ、農薬は同じ化学物質なんです。被害者が加害者にならないようにと、できるだけ農薬を使わない、甘夏みかんを作ってもらうことになり、食べています。農薬がかかっていない皮は、安心してピールやジャムにすることもできます。

そのほかにも生活クラブ生協は、安心、安全は自分たちで作るものと生産者として話し合って消費材を開発するところから始まります。

 

熊本県の水俣市や北海道の牛舎と屠殺場、余った田んぼで豚の餌用に飼料米を作るプロジェクトにも関わりました。自分が食べている現場を知ることは、すごく面白く、興味深かったです。

 

生活者ネットはこのように現場の課題を自分たちの代理人を議員として議会に送って、意見反映と情報公開を進めようという活動です。

私が最初に区議会と関わったのは、まだ、安全性が確立されていない遺伝子組み換えの米を給食に使わないで欲しいという

陳情を区議会に提出したことです。2002年のことになります。20年前ですね。

また、2003年、初めて議員を送ってから毎年、区長にあって、シャボン玉メッセージをもらっています。

これは、循環する水の安全性を確保するために、石油由来(化学物質である)合成洗剤を使わず、天然油脂による石鹸を使おうというものです。台所洗剤なども、主婦湿疹やアトピーなども、必要以上に、手の油脂を剥がしてしまうことによって発生していると言われています。

このように現場で、そこに住む人がどのような暮らしをしていきたいと思っているかが大切と私たちは考えています。

 

特に、区議会など基礎自治体の政治は、皆さんが直接選挙で選んだ区長や市長、都知事の下、生活に密着した教育、福祉、防災、清掃などの事業内容を決めていいます。

ゴミの出し方など、ゴミを出したことがない人に勝手に決められたくないと思いませんか。

生活者ネットはこのような現場の課題を自分たちの代理人を議員として議会に送って、

意見反映と情報公開を進めようという活動です。

議員には本当にたくさんの情報が集まります。

議員はそれを自分だけの情報としてでなく区民国民に情報公開を進めるべきだと思います。

選挙で1票を投じたとはいえ、誰かに任せっぱなしにしていると、日本国内に54基もの原発ができていて、東日本大震災の際の東京電力の福島第一原子力発電所の大事故につながってしまったのです。

遠く離れていると思われる政治を自分たちのものにするのが、生活者ネットワークの活動です。

2003年に豊島区議会に初めて議員として水谷泉さんを送ったときに、仲間から言われたのは、やっと自分の貴重な一票を納得して投じることができたというものでした。

 

さて、生活者ネットワークには、

3つのルールがあります。

議員は交代制

議員報酬は市民の政治活動資金に

選挙はカンパとボランティアで

この仕組みで、市民が政治に参加しやすくしています。

自分たちの意見が反映しやすい、基礎自治体という区議会、都議会に議員を出し、すでに215人の議員を生み出しました。現在は41人の議員がいます。この活動は全国の15の都道府県にネットワーク運動として、536人、現在は88人の議員が活動しています。

 

私たちは、自分たちの住むこの街をどんな街にしたいかをどこかの誰かが決めるのではなく自分たちで決めていきたいと活動しています。大きな政党は、中央の誰かが政策を決めていきますが、私たちは、自分たちで決めます。

東京都議会選挙を前に決めたのがこの東京政策です。

いのちと生活を守るコロナ対策を前へ

子ども・若者のいまを大切に!

超高齢社会もこわくない! ひとりにしない介護と福祉

ジェンダー主流化と多様性で社会を強くする

水害・地震・感染症に備える災害対策で安心・安全を

ストップ地球温暖化!

都市農地と食の安全を守る

香料による化学物質過敏症=香害をなくす

まだ間に合う!いらない大型公共事業はストップ

必要なのは働く議員! 都議会を市民目線で改革する

私は、政策委員としてこのまとめ作業に関わりました。コロナ感染症によって、どんどんと状況が変わっていく中、学校のオンライン授業はどう考えるか。などは、大きな課題でした。電磁波の危険性を注意しながら進めるというものになりました。

特に大きな課題としては、

ケアラー支援https://www.seikatsusha.me/blog/2021/05/18/16255/

香害https://www.seikatsusha.me/blog/2021/05/18/16259/

DV被害https://www.seikatsusha.me/blog/2021/05/18/16255/

 

このように様々な調査活動から政策にまとめています。

2018年のジェンダー調査をご覧ください。

そして、東京都内の自治体調査で一番ジェンダー平等政策が進んでいるのが

豊島区という調査結果が出ました。

2019 年「東京に暮らす女性たち」東京・生活者ネットワークジェンダー政策・自治体ランキング調査発表!

 

私は、この政策を進める男女共同参画推進会議のメンバーを8年間務めました。

豊島区議会は36人中13人で、議員に割り当てられる審議員メンバーは4人とも女性でした。

 

3.女性の声は新しく強い力

〜ジェンダー主流社会をめざして

ところで、皆さんは、男女差を感じたことがありますか。

社会的意味合いから見た、男女の性区別をジェンダーと言います。

私自身は、共学で大学まで学んできたので、1980年に大学を卒業するときに、初めて、男女差を感じました。

男女雇用機会均等法の前でしたので、今は、男のみ採用するということをしてはいけなくなっているはずですが、大学の新卒の掲示板には男子のみというものばかりでした。今まで、ずっと男女平等にやってきたのに、なぜだろうと思いました。

12月24日のクリスマスケーキとか大晦日の年越しそばとかの言葉を聞いたことがありますか。

それぞれその日までは価値があって、次の日からは価値がなくなることを意味しました。

80年台は、まだそんな言葉が堂々とながれていました。

 

その中でも大卒女子を採用する専門商社に入社し、2年半後同じ会社のドイツ支社に勤めることになり、一旦日本の会社をやめて、現地採用という形でドイツ、デュッセルドルフで2年半働きました。

送別会で、同期女性から「あなたは、もう結婚しないのね?」と言われてなんでだろうと思いました。

 

帰国後、ドイツで一緒に働いていた人と結婚し、この人が豊島区出身だったので彼の両親と二世帯住宅で暮らすようになりました。、息子2人を育てながら、小学校のPTA役員8年間、子どもが中学生になってからは、生活クラブ生協の活動を熱心に行うようになりました。

今から30年前のPTAは活動を担っているのはほとんど女性でしたが、会長は男性でした。今や、PTA会長に女性も増えてきました。

息子二人が通っていた豊島区立小学校は9年間のうち8年間は女性校長で、担任も二人ともずっと女性でした。比較的公立小学校の教諭は女性が多く活躍していました。ここに東京都内の区立、私立、都立の校長、副校長の男女別人数を調べたのですが、小学校では、男性が950人女性は310人。ですが、中学校になると男性550人のところ女性50人です。

 

ジェンダーギャップ指数をご存知ですか。

152カ国中、120位と日本の低さが強調されていますが、少しずつ変化していることを感じます。

衆議院議員はまだ1割ですが、参議院では245人中56人22%です。今回の都議会議員選挙では127人中3割を超えました。

今、豊島区議会は36人中15人で、42%に達してます。

 

マイノリティの意見反映は3割を超えると聞いてもらえるようになると言われています。

これが4割を超えると男女差に関わらず、その人の個性で判断されるようになるそうです。

このため、ある割合を女性に割り当てるクオータ制や男女半々にするパリテ法を作ったフランスなどもあります。

 

多様な人がいることは、力になるのです。

長く変わらないと言われていた政治を変えられるのは女性かもしれません。

例えば、今や、男女共に働くことが当たり前になっています。

 

しかし、国の様々な制度が現代社会にあっていません。

国民健康保険は世帯単位ですし、

選択制夫婦別姓の問題も選択するだけなのに、反発があります。

選択制夫婦別姓:最高裁の裁判官合憲11人、違憲4人

違憲とした三浦裁判官は(改姓は)個人の人格を象徴を喪失する感情をもたらすと言っています。

LGBTQ、同性婚を認めるか。

障害のある人の車椅子の使用。

などさまざまな課題を指摘することができるのはより生活に密接した女性です。

しかし、女性に参政権が認められたのは、76年前の1946年の11月の総選挙からでした。

ここで女性参政権運動に長く関わった市川房江さんの映像をご紹介します。

https://www2.nhk.or.jp/archives/jinbutsu/detail.cgi?das_id=D0009250021_00000&fbclid=IwAR1J2jHQAkEWS4HZ2DUPBy7lap_-cBNwdDudlTvr34dHEbx5A6WRegVNUrA

 

最後に、私(村上典子)から、若い女性の皆さんへのメッセージです。

どうぞ、自分から、ガラスの天井を作らず、目の前にきたチャンスを逃さないでいただきたい。

何も変わらないと思っていても、動けば変わります。

たった一度の人生、皆さんの人生が充実したものでありますように願って、私のお話を終わります。

 

授業後の学生の感想の一部を紹介します。

・高校の頃は生徒会総選挙で投票をしていたにもかかわらずいつの間にか選挙が遠い存在になっていました。

・政治は、自分とは遠いようなイメージでしたが、お話を聞いて、むしろ政治は私たちの生活に密接していることがわかりました。

・大学生になってから、より政治や選挙について考えなければならないと思っていましたが、どこから学んで行けばいいのかきっかけもないままに時間だけが過ぎてしまいました。

・いざ投票となると何を基準に選べばいいのか全くわからず何もできない状態でした。

・議員の年収や選挙の実施にも自分たちの払っている税金が使用されていることを思うと、自ら関心を持って政治や社会制度について理解しておく必要があると思いました。

・選挙権を得たばかりの我々大学生が情報を手に入れようとする姿勢が求められていると感じました。

・次に選挙の機会があるときはよく考えて投票したいと思います。

・女性がかつて選挙に参加することができなかった背景を考えながら、大事に選択していきたい。

・たくさんの方々が積み重ねてきた労力や思いを無駄にしないよう、次は我々の世代が未来の形をつくっていきたいです。